「うちの本棚」、今回は石川 賢のコミカライズによる『変身忍者 嵐』をご紹介いたします。
「時代劇版『仮面ライダー』」を目指したテレビ版を、石川 賢がどのようにマンガ化したか? 時代劇+怪人、それは石川 賢お得意の分野だったりするのです。
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本作品は特撮テレビ時代劇『変身忍者 嵐』のコミカライズである。連載は秋田書店の「冒険王」と「別冊冒険王」で、最終回エピソードが2種類描かれた。
大都社からは本書刊行後、未収録話を含めて『変身忍者 嵐外伝』として再刊行されている。未収録の理由は原稿紛失だと思われるが、本書でも最終2話は印刷物からの復刻となっている。
テレビ作品の方は「時代劇版『仮面ライダー』」を意図していて、当初登場する化身忍者も初期の『仮面ライダー』を彷彿とさせる雰囲気である。もっとも裏番組が『ウルトラマンA』であったため試聴率的には苦戦したようだ(自分も『ウルトラマンA』を観てました)。
石川 賢のコミカライズはテレビ版にそった内容であると共に、ダイナミック・プロらしいアクションやインパクトのあるシーンがふんだんに描かれている。また、テレビ作品のコミカライズではあるが、石川作品らしい個性も出ていて、初期の石川作品の代表作のひとつと言っていいだろう。
正直なところ時代劇で嵐の造型は違和感そのものなのだが、マンガではすんなりと受け入れられる。ちなみに本書刊行の際に描き下ろされたと思われるカバーイラストも素晴らしいのひと言に尽きる。
初出:秋田書店「冒険王」1972年5月号~1973年3月号、72年夏の増刊号、73年お正月増刊号、「別冊冒険王」1972年夏季号~1973年春季号
書 名/変身忍者 嵐(全2巻)
著者名/石川 賢
出版元/大都社
判 型/B6判
定 価/各540円
シリーズ名/STAR COMICS
初版発行日/昭和61年6月30日(一、二巻とも)
収録作品/第一巻・ネコマンダラ、死人ふくろう、吸血むかで、人食いカラス、ノミドクロ、第二巻・顔なしカワウソとキバギツネ、ドラキュラ、オオカミ男とフランケン、スフィンクスとタランチュラ、マーダラとメドーサ、モズマとワーラス、月の輪の正体、西洋怪人復活
(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/)